松下幸之助一日一話 PHP研究所編

千の悩みも経営者には、一度にいくつもの問題に直面して、あれこれ思い悩むという場合が少なくありません。しかし私はいままでの経験で、人間というものはそういくつもの悩みを同時に悩めるものではないということに気づきました。結局、一番大きな悩みに取り組むことによって、他の悩みは第二、第三のものになってしまうのです。だから、百の悩み、千の悩みがあっても、結局は一つだけ悩めばよい。一つだけではどうしても払うことができないが、それと取り組んでいくところに、人生生きがいがあるのではないか。そう考えて勇気を持って取り組めば、そこに生きる道が洋々と開けてくるとおもうのです。

 次元は違いますが、最初一番痛みのあったのが、足首の傷だったとする。それが、直ってくると、今ままでも痛かったのに気づかなかった次の痛みが訪れるようなものであるのかなと思いました。
 だから、大願に立つということは、他の小さな悩みを見下ろせるということにつながるといいたかったのです。