三、自分自身を知るということ

 若きソローも、エマソンの知遇を得て、精神革命の希望の砲声を響かせた。
 師匠を原理とすれば、実践・展開は弟子の本領であろう。
 一八四五年、二十八歳になるソローは、七月四日の独立記念日を期して、町外れのウォールデン池の畔(ほとり)に建てた丸木小屋で、二年余にわたる一人暮らしを始めた。
 彼は、「自己を信頼せよ」「自らの内面を開発せよ」と説いた師エマソンの自立の哲学を、わが青春の探究を通して実験していったのだ。

 ソローは、生きとし生けるもの、すべて支え合い、調和していると見た。森羅万象を貫いて働く、その生命の法則を確かに直観していた。
 ゆえに、彼は、矛盾に満ちた現実社会にあっても、「より高き法則」に融合して、泥中に咲く蓮華のごとく生き抜かんとした。
 また、だからこそ、国家の権力に対して、一歩も退かぬ自負を持ち得たのであろう。
 ソローは、民主制に進んできた歴史の歩みを、「個人に対する真の尊敬に向かっての進歩」(飯田実訳)を、鋭く喝破した。

随筆 新・人間革命 211 法悟空
「ソローの不滅の声」より

 私の分身がいたとする。わたしはその分身の「人となり」を気に入るだろうか。さらに、その分身と組んで、仕事を成功させられるだろうか。

他人に尊敬される自分に成長していこう!←(表裏一体)→他人を尊敬できる自分に成長していこう!!