創造学のすすめ(再読)

P208 常に全体を見る訓練をする

あるひとつの着想を得たとき、それに関連する様々なことについて考えながら設計を進めることを私は「トータル・エンジニアリング」と呼んでいます。設計に限らず創造力を高めるには、このように全体を見る視点を持つことが大事です。

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あるアイディアを検討して「これなら大丈夫」と思っても、このように考えの領域が自分の周りのせまい範囲内にしか及んでいなければ、想定外の問題が必ず起こります。つまり、その事柄を実行したときにどのような影響が出て、それがどこまで及ぶかを考えていなければ、自分が考えたアイデアに対する本当の意味での正しい評価などできるはずがありません。

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 社会全体から見てみると、あちこちに抜けがあることがよくあります。「部分最適・全体最悪」という言葉がありますが、この言葉が表しているのは、まさにある狭い領域ではいちばんいいと思ってやったことが、もっと大きな部分で見ると、結果として大きな災いをもたらすことがあるということです。

ものづくり・人の安全を守る仕事などは、特にあてはまるのではないか。
これが決定する前の段階ならまだいい。しかし、狭いプランのまま決行されたら恐ろしい結果が待っている。だから、悪に対しては、師匠は、日々、厳しくご指導して下さっているのだと思う。